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レカネマブ(商品名レケンビ)について

[2024.02.28]

 抗アミロイドβ抗体であるレカネマブ(以下レケンビ)は、軽度認知機能障害(MCI)、軽度アルツハイマー病に対する、世界で初めての画期的な疾患修復薬です。アメリカに次ぎ、日本でも保険収載されました。
 実臨床としての妥当と思われる対象者は

①MMSE 22点以上、②85才以下、③高血圧、糖尿病などの合併症が少ない、④抗血小板薬、抗凝固薬を使用していない症例、⑤MRIを撮影できる症例かつ脳微小出血が5個未満、脳表ヘモジデリン沈着又は脳出血が1cm未満の症例、④介護者がいることが必要と思われます。さらにこれらの対象者にアミロイドPETもしくは髄液検査を施行し、アミロイドβ病理を示唆する所見を確認することが必須となります。
 実際の投与方法として、1時間のレケンビの点滴を月2回行う必要があります。投与時に約25%のinfusion reaction(発熱、発赤、血圧低下など)が認められていることより、最初は入院での投与が望ましいです。また約20%にARIA(レケンビ投与に伴う脳浮腫、脳出血の副作用)が起こるためMRIを5回目、7回目、14回目の投与前に撮像します。中程度以上のARIAが認められた場合は、投与を中止します。とくにレケンビの投与期間は決められていませんが、治験結果からは認知機能の尺度であるCDR-SBが投与1年半で27%抑制され、また2年間で7.5ヵ月の進行抑制が報告されているため、少なくとも2年間以上の投与が必要になると思われます。
 レケンビは今までにない画期的な薬である一方、まだ問題も多い薬です。

  1. 効果はまだ不十分であり、決してアルツハイマー病を治す薬でないこと
  2.  ARIA発現頻度が高いこと
  3.  レケンビの薬価が高額であること(高額医療制度の適応になります)

などがあります。
 また現在、アミロイドPETを有する施設は限られており、投与は大学病院、基幹病院に限られています。約1万人程度の対象者をこれらの病院で治療していくには、人的コスト、物理的なスペースの確保など受け入れ側での問題も指摘されています。
 当院では、患者様の一人一人に寄り添い、レケンビを含め現在どのような治療が最適かを判断し提案しております。

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